いつも昼に行く公園は猫が沢山いる。
常駐ホームレスのテントそばには三毛一族が。
日当たりのいい東側ベンチには茶虎一族がいる。
たまにコンビニで買ったパンをベンチに座って食べていると、餌をねだりにやってくる。
その仕草はかわいいけど、正面から顔を見ると、その表情に荒々しい野生を感じることがある。
そんな時は俺の負け。
ホームレスのおっさんは三毛に名前をつけているようだった。
おっさんなりに三毛の健康を気遣っているのか、昼休みのOLが食べる弁当を三毛が物欲しそうに見ていると、
「おい!おい!こっちこい!」
と三毛を呼び、食べさせないようにしている。
夕方新宿の海峡でマグネシウムリボンの制作会議。
様々な仕事の責任者を分担した。
山崎は、
「次はすごく楽しい公演になるような気がする」
と脈絡なく言っている。
しかしこうした言葉は思うだけでなく、実際に発することが重要だと、日本経済界の立志伝中人物の伝記を読むにつけ思う。
芝居を作る時も、
「やばいよ」
と言ったことがない。
誰かに、
「ねえ、あのシーンやばくない?」
とか聞かれても、
「絶対大丈夫だよ」
と答えている。
その方がなんとかなる。
ただ、だれも「ヤバい」と思わない公演はまずい。
俺が思うのはそりゃ当然のことなのだが、他のメンバーがのほほんとしていると、やばいなあと思う。
「ヤバい」と「だいじょうぶ」を同時に言うのはほんとにヤバい。
慎重な健ちゃんは何も言わず、横で微笑以上苦笑未満の顔だった。
9時まで話しつつ飲む。
坂東眞砂子「聖アントニオの舌」読了。
イタリアの聖跡をめぐるエッセイ。
聖跡というものに今まで興味を持ったことがないのだが、そのため逆に興味深く読むことができた。