相手の台詞を聞くことに脳が費やす割合

7時半起き。
朝飯に食えるものが何もなかったので、早めに着替えて駅前の立ち食いそばで親子丼を食べる。

午前中のみ出社。
昨日一昨日と仕事を任せていたアシスタントさんから、トラブルの報告を受ける。
エクセルにエクスポートする時にデータが抽出されない云々。
といってもさほど深刻なものではなかったので、午前中対処する。
「大分慣れたでしょう?」
と聞くと、
「緊張します」
の答え。

昼12時に退社し、南北線で王子へ。
12時40分頃小屋入り。思ったより時間がかかる。

ダブルキャストのため、今日の昼もゲネ。
待ち時間中に色々なことを考える。
相手の台詞を聞くということに脳の何パーセントを費やしているかなど。
100パーセントでは自分の台詞を言うタイミングが遅くなるし、0パーセントでは会話にならない。
状況に応じて可変するものだろうと思うが、芝居においてはそれがドラマの中の状況に応じていなけらばならず、役者の個人的状況で可変してはいけない。
いけないとはいえ、人間であるからやはりどうしても影響は受ける。

相手の台詞を聞く割合を意識的に高めると、相手の表情や仕草もよく見えてくる。
これが、自分の演じる役の体験として、次回同じシーンで自分の台詞を言う時にフィートバックされる。

昨日は踏んだり蹴ったりの初日だったわけだが、相手の台詞を聞くことに関してはおろそかだったかもしれないと思う。
イルカ団の芝居は非常にテンポが早く、場のテンポを優先すると、相手の台詞を<きっかけ音声>にして、自分の台詞をリズムで言ってしまうことになる。
稽古期間を思うと、年季の入った役者でないと、実は難しい芝居スタイルなのではないかと思う。

ゲネでは、視野に入るもろもろや、相手役の表情や仕草などを全て記憶するつもりで望んだ。
なるほど。
気づかなかったことがよく見える。

(するとあそこの俺の台詞はこういうことになるな・・・)
ゲネが終わってから本番まで、頭の中を整理する。

劇場近くにある中華料理屋で早めに夕食。
麻婆豆腐、ご飯、スープ、小皿、デザートなど色々ついて、ご飯とスープがおかわり自由というスタイルは、中国人が経営するお店のスタンダードだ。
800円を切る値段で味もまあまあだった。
ランチ時に満席になってもおかしくない店である。

ソワレ、7時開演。
昨日と同じ暗闇スペースにパイプ椅子を持ち込み、集中ではなくぼーっとしながら座る。
こちらはぼーっとしているだけなのに、暗闇に一人座っていると、周りは<集中している>と解釈してくれるから、楽は楽だ。

芝居は、落ち着いてできた。
ようやく自分も初日が出せたとほっとする。

終演後、見に来てくれた安見くん芹川と一緒に近くの居酒屋ビルで飲む。
安見くんに、先日彼が出ていた芝居のことを少し聞く。
冒頭の喋りは即興とはいえ、稽古でしょっちゅうやっていたので、会話はこなれていたとのこと。
納得。
芹川はこのところ芝居はしていない様子。
「やろうよ」
とささやき、毒が染み渡っていくのを後日待つ。
11時過ぎまで色々話し、駅前で別れる。

12時過ぎ帰宅。