めぐまれた

朝、体が重かった。
扇風機にあたったまま寝てしまった時の感じだった。
部屋はどちらかといえば蒸し暑かったし、タオルケットをかけて寝ていたので、寝冷えではなかった。
体の芯が冷えているようだった。
仕事先に連絡し、体調不良で休みをとった。

思い当たるフシはある。
4月から座席が変わり、空調の真下になった。
冷風がうなじに直接あたる。
ここ最近、気温が30度に達する日があるせいで、空調の温度が低くなった。
そのせいだろう。

夕方6時半に家を出て新井へ。
トツゲキ稽古。
外は雨で涼しかった。
外気温が低くなると、相対的に体は暖かくなった。

後藤さん、たかりょうくんとの絡みがあり、稽古をしていて楽しい。
客演が久しぶりということもあるけれど。

芝居を始めて随分経つが、稽古場に通うのにストレスを感じた公演はあまりない。
三十歳を過ぎてからは一つもない。
マグの公演はのぞく。

26歳の時、中野ウエストエンドスタジオの舞台に立っていた。
昼の公演が終わり、夜の出番が来るまで、3時間以上の自由時間があった。
近所の寿司屋に行き、楽屋でスポーツ新聞を読み、コーヒーを飲みながら先輩と雑談した。
そんな時間がとても楽しかった。
(ずっとこの時間が続くといいなあ)
のんきに思っていたら、先輩がつぶやいた。
「そろそろ潮時かなあ…」

先輩はそれを最後に芝居をやめた。
以降一度も会っていない。
良くしてくれた人だった。

思い返せば、良くしてくれる先輩にしか巡り会ったことがない。
しごかれたり、いじめられたりという経験が、一切ない。
演劇に限らず、バイト先でもそうだ。
オレは、先輩達にものすごく恵まれていたんだな。

10時過ぎ帰宅。
雨はやんでいた。

「贅沢な肉」映像編集、少しずつ進める。
オレと上岡君が、たい焼き屋の話をする場面がややこしい。
オレはカウンター側にいて、上岡君はフリースペース側にいる。
いっそカメラを2台借りて、2カメ据え置きにした方が、編集はずっと楽だったろう。