つかずにいられぬ性分

昼、「蘭蘭酒家」で刀削麺食べる。
見た目が普通の麺と同じ嵩だと、普通の麺の大盛りくらいの量になる。

定時に上がり、6時にいったん帰宅し、7時に宝仙寺の「平田屋」で、先日異動したコンドウYさんの、内輪だけの送別会。
Tさんすでに来ていた。
遅れてコンドウNくん到着。
肝心のコンドウYさんは残業で遅れるとのことだった。

私服だったので、コンドウNくんに、どうしたのかと聞かれた。
とっさに「実は今月で辞めるんだ」と答えた。
「うそうそ」とTさん。
コンドウくんは呆れた様子。
「神さまは、本当なのか嘘なのかわからない顔で言うから」
「今のは嘘っぽく言ったつもりなんだけど」
「いやいやいや、それも含めて計算しているんじゃないかっておもうんですよ。神さまの学生時代の話とか、聞いてて恐ろしいですもん」
「どんな話?」とTさん。
「真夜中に」オレは言った。「屋上で星とか見てた後輩たちを、非常階段から上がっていって脅かしたんですよ。全身暗幕に身を包んで。そしたら彼ら、恐怖で降りられなくなってしまって」
「ぼらほらほら!」コンドウくんが声を張り上げた。「神さま。それは、血ですよ!」
「血?」
「神さまのお母さんの話を聞いた時、僕は、血なんだなって思いましたよ」
母が若い頃にしたいたずらのエピソードを彼に話して以来、オレのいたずら好きは遺伝ということになっているのだった。

鯛の釜飯、イカゴロ焼き、骨せんべいなど、美味しく食べる。

8時半過ぎにコンドウYさんが到着した。
今の仕事はどうですかの問いに、
「微妙ですね」
と答えていた。
四月はそんなものだ。

Tさんからハワイの話を聞く。
「ハワイに着いたら、何も気を使わなくていいの。化粧もしないし、服はTシャツでいいし。本当にいいところ。お金があったら永住したい」
Wコンドウズは夢見心地の顔でうなずいていた。

10時半に店を出る。
自転車で15分ほどで帰宅。

「あの世で地獄に行く前に、この世でハワイに行っとくんだよ」
古谷実『サルチネス』より。