浦安の海

4時20分起き。
外の音に耳を澄ませる。雨音は聞こえなかった。

4時50分に実家を出て旧江戸川に向かった。途中、ローソンに寄って飲み物とハンバーガーを買った。

雷からなぎさ公園にかけてスーパー堤防化の工事をしており、土手の一番高いところの道が通行止めになっていた。自転車をその手前に止め、ハンバーガーを食べた。河原を見下ろすと、釣り人が二人いた。

河原に下り、木と木の間の岸に陣取った。日の出にはまだ少しだけ時間があり、あたりはうす暗かった。持って来たルアーは鉄板バイブばかりだった。それらは明るくなってから使うことにして、まずはスーサンで投げはじめた。

潮の流れはゆっくりになりかけていた。何回か投げては引いた。アタリはなかった。そのうち、明るくなってきたので、ルアーをバイブレーションに付け替えた。

そのうち、正面沖100メートルちょっとのあたりにカワウがやってきて潜水を始めた。これじゃあ釣れないなあと思いながらも、角度を変えてキャスティングを続けた。

7時近くになり、潮の動きがすっかり止まったのをきっかけに納竿した。土手を上る時、老人に声をかけられた。
「ここでは何が釣れるんですか?」
「シーバス…スズキが釣れるんです」
「ほーほー、釣れましたか?」
「釣れませんねえ」
「そうですか。いや、かれこれ一時間ずっと見ていたんですが、釣れている人が一人もいなかったもんですから」
「秋はシーズンらしいですけどね」
老人に会釈して自転車のところに戻った。

7時過ぎ実家帰宅。
朝飯に目玉焼きとソーセージを食べた。

午前中、ノートパソコンをつけ、ブログ更新をした。

午後1時、自転車で葛西臨海公園へ。夕方まで時間があったので、人工なぎさの釣り事情を確かめるついでに、今まで一度も乗ったことがない観覧車に乗ってみようと思ったのだ。

出かける前にタイヤの空気圧を調べるとけっこう減っていたので、マンションの駐輪スペースにある空気入れで空気を入れた。手動だったので理想的な圧にするのが大変だった。

臨海公園の観覧車まで行くと、行列ができていた。そういえば今は連休中だったと思い、同時に、いつだって乗れるんだから今日乗る必要はまったくないと判断し、人工なぎさに向かった。

人工なぎさの西なぎさで、その昔60センチのシーバスを釣ったことがある。湾内は釣りが禁止されているのだが、西側の荒川河口に伸びた突端はグレーゾーンだった。釣った後、シーバスを持ち帰ったのだが、クーラーボックスやバッグを持っていなかったので、手で魚を持ったまま人がいっぱいいる臨海公園を通り抜けなくてはならなかった。当然、多くの人々の視線を集めたが、当時の自分にはまだ葛西を地元として認識する意識が強かったので、「わー」とか「すごーい」とか言いながらこっちを見ているカップルどもの間を、地元民さまのお通りだと言わんばかりのドヤ顔で通り抜け、そんな自分をカッコいいと思っていた。しかし、その時着ていたパーカーは、白地にキャップを被った男の子のイラストが紫色でプリントされている可愛いものだったので、どう考えても見た目と態度はそぐわなかった。いわば、イチゴ柄着たジョン・ウェインだった。

で、その西なぎさ突端は現在どうなっているかを見に行ってみた。

人工なぎさの橋を渡ってから突端まではけっこう距離がある。足元は砂地なので歩きにくかった。ちょうど干潮時刻を過ぎたばかりで、海岸には干潟が現れていた。

突端は立ち入り禁止になっていた。昔シーバスを釣った時は普通に歩いて行けたはずだ。
足元は旧江戸川のゴロタ石のようになっていた。昔は道になっていたと思うのだが。
おそらく葛西臨海公園ができた頃は、突端へのルートに土が盛られていたのだろう。しかし、位置的に高潮や荒波や強風の影響をモロに受けるため、岩がむき出しになってしまったのではないだろうか。

立ち入り禁止ロープを乗り越えて、岬の先端で釣りをしているグループがいた。その辺りは潮回りもいいだろうし、河口よりも釣果は期待できるのかもしれない。事実、おれはそこで釣った。釣り上げた瞬間、背後にいた二人っきりゾーン探求カップルに拍手された。そこから、まあ地元民にとっちゃ軽いもんよというワケのわからないテンションが始まったんだった。

自転車のところに戻ると、時刻は2時を少し過ぎていた。いい天気だった。臨海公園は人でいっぱいだった。

実家から行ける範囲の釣り場を見学しておこうと思い、今まで行ったことがなかった旧江戸川の浦安側へ行ってみた。

臨海公園からは橋を渡ってすぐだった。
川岸は江戸川区側よりも小さい石が敷き詰められていた。引き潮だったので石はむき出しになっていたが、満潮時はおそらく水面下に沈むだろうと思われた。釣り人のブログを検索すると、江戸川区側よりも浦安側の方が釣果実績は良かった。橋を渡ってすぐだし、今度はここで釣ってみようと思った。

浦安に渡ったついでに、海側の釣り場も見学することにした。クロスバイクを千鳥地区に走らせ、名前だけは聞いたことがある『電波塔』のスポットへ移動した。

そのあたりはディズニーシーの南東に位置しており、護岸の真正面は東京湾の海だった。もはやそこいらは汽水域ではなかった。沖には旧江戸川から下ってきた釣り船が浮かんでいた。
護岸の真下にはテトラポッドがあった。その先にも岩が沈められているらしかった。釣り人はけっこういたが、磯用の長い竿を使うか、テトラボッドに下りて釣りをしていた。

岸沿いを時計回りに自転車を走らせた。海に突き出したところに電波塔があり、その角を右に曲がって進むとディズニーシーが見えた。足元のテトラポッドの先が岩だらけであるのがわかった。こんなところで普通にルアーを投げたら一発で根掛かりしてしまうと思った。

さらに先に進み、ディズニーシーの裏を過ぎると、再び海に突き出した角があった。そこが旧江戸川の河口だった。角を右に曲がると、遠くに葛西臨海公園の観覧車が見えた。旧江戸川に面したゾーンはテトラボットが沈められていなかった。ここならいつものようにルアーが投げられるかもしれないと思った。

そのまましばらく行くと、ディズニーランドの裏あたりに進入禁止のロープが張られていた。さきほど見学した旧江戸川の浦安側は、そこから直線距離にして1キロもないはずだった。しかし、この立ち入り禁止ゾーンがあるため、湾岸道路の橋を渡ってここまで来るためには、8キロほど迂回しなくてはならないのだ。

時刻は3時半になっていた。今きた道をそのまま戻るのかと思うと少しげんなりした。

電波塔港湾地区は釣り人だけでなく、バイクスタントを練習するグループもいた。公道ではないため、ノーヘルの人もいた。

回り道の距離は長かったが、信号が一つもないため、舞浜駅までは意外とすぐに戻ることができた。

4時過ぎ、実家帰宅。

早めの夕飯に、能登のいしるで作ったスープの鍋物を食べた。

5時半に実家を出る。

6時半帰宅。

7時半、『戯曲を読む会 Onlineフェスティバル2020』に参加。
今日の団体はいつも参加している『本読み会』で、作品はイヨネスコ『禿の女歌手』だった。

イヨネスコは、英会話を学んでいた時、わかりきったことを述べるような例文があるのに気がついた。たとえば、スミス夫人が自分の夫に、私は何人の子供を持っていますと述べるなどである。
で、イヨネスコは、こいつは一体どういうことだと考えた。そして、子供の数なんて旦那は知ってて当たり前なんだからその例文は変だ、ではなく、もしかすると世の中にはその例文みたいな会話を必要とするうかつな人間かいるのかもしれないと考察し、英会話の例文みたいなやりとりの戯曲を書いた。
その背景を知った上で読めば、なるほどと思えるのだが、事情を知らずにただ読むと、何が何だかさっぱりわからないだろう。
タイトルも、初めは『楽しい英語』だったのに、稽古中役者が台詞をとちり、その言葉が『禿の女歌手』で、意味がなかったのだけど、イヨネスコは「それだ!」と、タイトルを変更したらしい。

声に出して読んでいくと、自分の台詞に対する相手の返事や、相手の台詞に対する自分の答えが、論理的につながりを持たないように思えて仕方なかった。ただ、この戯曲の登場人物がすべて赤塚不二夫漫画の登場人物だと想像すると、不思議と納得できた。キミはわしの息子なのか。ならキミはバカボンなのだ。うちにくるのだ。パパ、誰だいその人は? この人はわしの息子のバカボンなのだ。バカボンはボクだよ。バカボンは二人しかいないのだ。とっとと出て行くのだ。

久しぶりに声に出して戯曲を読むと、自分の声が以前より低くなっているような気がした。

夜3時就寝。

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