『谷間の百合』読了

11時半起き。

一人芝居をする夢を見た。

スタッフがずいぶん年下の後輩達で、進行が上手くいってない。彼らはおれのことを知らない。彼らにとっての大先輩がやってくるが、そいつはおれにとっての後輩だ。やつはスタッフ陣を叱りつける。それをみて、心の中で、おれはちゃんとやってるんだけど、などと、セコいことを考えている。

起きてから、うわあ、おれ、人間が小さいなあと思った。

昼飯に韓国餃子食べる。

午後、『谷間の百合』読了。

フェリックスはパリに戻り、アラベルと愛欲まみれの同棲生活を送る。クロシュグールドからの連絡は途絶える。しかし、ルイ18世とアンリエットの父が交わす会話から、彼女の病が重くなっていることを知り、ダッシュでクロシュグールドに赴く。

アンリエットの娘マドレーヌは、フェリックスのことを母親を裏切り傷つけ瀕死の状態に追い込んだゲス野郎と見なし、敵意をまる出しにする。

アンリエットは40日以上飲まず食わずで痩せ細り、心がおかしくなっている。フェリックスを迎えるために部屋を飾り立て、彼女は、人生の未練と悔いの言葉を述べる。その姿に、かつての面影を見いだせなかったフェリ男は(こいつはもうフェリ男でいいや)ショックを受ける。

やがて臨終が近づき、再びもとの穏やかで貞淑な精神を取り戻た彼女は、フェリ男に手紙を書き残し、自分が死んでから読むようにと伝え、息絶える。手紙には、舞踏会で肩にキスをされてから、ずっとフェリ男が好きだったことや、心は夫を裏切ってもやましい行為はしなかっことや、自分はフェリ男と結ばれなかったが、その代わりにマドレーヌをフェリ男の嫁にするよう考えていたことなどが書かれていた。

フェリ男はすぐクロシュグールドへ行き、マドレーヌと会い、キミがボクを憎んでるのは誤解だよみたいなことを言うが、マドレーヌは母の意図をとうに知っており、その上で、私が生きている限りあんたはクロシュグールド立ち入り禁止と冷たく言い放つ。

フェリ男がパリに戻ると、アラベルは自分の夫と息子を家に入れていて、あんた誰? みたいな態度をとる。フェリ男は、アラベルの体に飽きてもいたので、それをきっかけに同棲解消する。

「それ以来、勉強しながら政治の仕事に集中し、女っ気なしでこれまでやってきた。ナタリー、キミと会うまではね」

と、ここで長々と続いたフェリックスの書簡は終わる。

エピローグとして、ナタリーの返事が続く。

「あんたさあ、よくも昔の女のことを美化して延々と書いてくれたわね。あたし、どっちの代わりにもなれないし、まして二人を足した女になるなんてまっぴらよ。昔なにがあったのかって聞いたのはあたしだけど、だからって元カノサイコー話をこんなに読まされるなんて思わなかったわよ。悪いけどあたし、あんたパスするわ。友だちならまあいいけど、ってことで、友だちとして忠告するけど、女口説く時に他の女ほめる癖、マジで直した方がいいよ。次、あんた、どの女行くか知んないけど、それ絶対やめときな。じゃね」

最後のナタリーの手紙が実に良かった。この手紙の部分は、21世紀の我々にとって、もっともしっくりくる部分ではないか。笑ってしまった。

ただ、19世紀の時点や、本書が日本語に訳された昭和時代においては、このラストは訳者や読者を戸惑わせたようだ。でも、新訳が刊行されて読みやすくなれば、新たな読者を獲得するんではないかな。

この返事を書いた、ナタリー・ド・マネルヴィルは、他のバルザック作品「夫婦財産契約」にも悪女として登場しているらしいので、図書館で予約した。

3時過ぎ、走りに行こうと思い、腹筋と腕立てをしてから外に出ると、雨が降っていた。ラッキーと思い部屋に戻り、ラッキーと思った自分を恥じた。

6月に桑の実酒を漬けた少し後に漬けたサクランボ酒を、ワインの空き瓶に移した。けっこういい色になっていた。

夜、納豆、冷や奴、もやし炒め、餃子食べる。

『貴ちゃんねるず』木曜分を見て、録画したまま見ていなかった『たいむとんねる』を見て、『薪を焚べる』を見た。

その後、ELTや持田香織の動画を検索して見た。笑い顔が気になり、そうやって見ていくうちに、低音の笑い声も気になり、にわかファンみたいな気持ちになってしまった。

デビュー当時の持田香織は、高校を卒業したばかりのコギャルという感じだったので、おれ世代はELTをあまり聞いていないと思う。その後『うたばん』でいっくんがフィーチャーされた時も、興味がないというより、よく知らなかった。

しかし、90年代末に隆盛をきわめたエイベックス系の女1男2系グループの中で、ELTは二人になったとはいえ、まだ活動している。最近の曲を聞いてみたが、落ち着いていて感じが良かった。

持田香織は、いい年のとりかたをしているなと思った。性格は元から変わらず、年をとることで自然に、人に伝わりやすくなったのではないか。昔の映像を見るとタメ口だが、最近は敬語だし。