パソコンの顛末

 雨の中秋葉原へ行く。

 ラジオデパートを見て回り、コンデンサーを買い求める。
 6.3V 4700μFの品物を4個。

 それを買うまでに、実は色々迷った。
 コンデンサ1個あたりの値段と、必要個数。
 そして、マザーボードの古さ。
 新しいマザーボードを買うメリット。
 この機会に新しいマザーとCPU、さらにメモリを買ってしまおうかと悩みながら秋葉原をうろうろしてしまったのだ。
 途中、スロット屋のメイド二人にチラシまでもらうほど、心に迷いがあった。

 しかし、都合よく古いマザーボードが中古屋にあるわけでもなく、新しいマザーボードはまだ心の準備ができず、さらにコンデンサーも12個一気に買う勇気もなく、かといって手ぶらで帰るのも悔しく、一番膨れていたコンデンサー4個を交換できる分だけ買ったというわけだ。
 実に中途半端な決断。

 雨の中帰宅。
 しかし、4700μFを買ってしくじった。
 使われているコンデンサーは2200μFで、サイズが全然違う。
 買ってきたものだと物理的にも収まらない。
 あほだ。

 自己嫌悪に苛まれ、やけ酒モードに入った。
 もうパソコンなんかやめてしまおうか?
 デジタル生活に別れを告げ、猫と一緒に山にこもり、たけのこ掘りと山菜摘み、あるいは一網打尽にしたカブトムシを業者におろして小銭をせしめ、たまに里におりてコンビニで週刊プロレスと東スポを買うような隠遁生活にシフトしようかと考えた。

 だが、一つだけ試してなかったことがあった。
 マザーボードのジャンパピンに、CPUのクロック設定がある。
 FSB100Mhzと133Mhzの二つがあり、アスロン1.4を使っている時は133になっている。
 こいつを100にしたら、動作速度が遅くなるから、あるいは起動するんじゃないだろうか?

 どうせ失うものはなにもないのだ。
 そんな捨て鉢な気分で試してみた。
 すると、あっけなく再インストールに成功した。

 再インストールを済ませてから、ジャンパピンを133に戻して再起動してみた。
 すると、画面が真っ黒のまま、左上にカーソルが点滅し続ける。
 そしていつまでたっても起動しない。
 最初のトラブルの時と同じ症状だ。
 FSBを100にしたら直った。

 ひさしぶりにネットにつないだら、気のせいか波の音がしたが、気のせいだった。