国体で、駒大苫小牧と早実が決勝戦を戦った。
あの、夏の日の熱闘よ再びだ。
そして、またしても斎藤君が田中君に投げ勝った。
1対0だから、田中君だって負けちゃいない。
国体には鹿児島の今西君も出ており、
「シャーッ!」
とやってくれたらしい。
さらに、今西君の影響で駒大苫小牧の本間君も、
「シャーッ!」
とやってくれたらしい。
本間君と談笑した斎藤君はそれを受けて、ハンカチで汗をふくパフォーマンスをやったのだそうな。
なんとも個性的な連中で、ひたすら嬉しい。
かつて甲子園の予選で、ヒットだかホームランだかを打った選手が派手なガッツポーズをして塁を回っただけで、ヒットを取り消しにされたことがある。
オレが中学生の時だったかな。
それに比べると彼らにとって今はいい時代だ。
だけど、調子にのってパフォーマンスばやりになるのは困るぞ。
それは、本末転倒とか、そういう以前に、寒いし、痛いぞ。
願わくば顧問の先生方には、寒いと痛いの二点に絞って、球児達をご指導いただきいものです。
斎藤君は『ドカベン』の登場人物でいえば、誰にあたるだろう。
いわき東の緒方だろうか。
対する田中君は、横浜学院の土門か。顔がね。
個性的な選手が花を咲かせた今年の甲子園をどう思っておられるか、水島新司先生の感想が聞きたい。
「山田太郎にはかないませんよ!」
と、一笑に付されるかな。
『ドカベン』は、主人公の山田太郎があまりにも打ちすぎて、ついにはライバルを描けなくなり、連載が終わったという印象がある。
そのことが、『大甲子園』という作品につながっているのだけど、この作品も山田の明訓高校と中西球道の青田高校の試合で全てを出し切ってしまった。
『ドカベン プロ野球編』はさすがに真面目には読めなかった。
水島新司の描くプロ野球選手は、あまり似ていないと思う。
似ていると言う点でいえば、ハロルド作石の『ストッパー毒島』はすごい。
1995年から98年にかけてのプロ野球選手が沢山登場し、どれも似ている。
そして台詞が笑える。
『ドカベン』であまり言及されないと思うのだが、登場キャラクターの立ち姿がどれも非常に決まっている。
ああいう風には、なかなか立てないものだ。
そしてもちろん、プレイ姿もかっこいい。
犬飼小次郎や土門剛介が初めて本気で投げるシーンは、いまだによく覚えている。
「速そうー…」
と、ページをめくりながら思ったものだ。
小学生の頃、水島新司先生のマンガには、本当にお世話になった。
草野球が楽しくなった。
まだ、草野球できる場所があった。
今はない。
どこにもない。