海を満喫

7時過ぎ起き。
食堂へ朝食を食べに行く。
他の宿泊客の行列ができていた。
朝食とはいえ、海のものが食べたいと思い、ホタテの甘露煮やらサンマの蒲焼きやら食べた。
よく考えてみればどちらも缶詰でありそうなおかずだが。
他にひじきの煮物、インゲンの白和え、大根おろしにしらすとキノコ、ベーコン、などなど。
パン派の人はバターロールや卵やサラダがあった。

品目数の多い朝食を終え、部屋で少し横になり、9時前に出発する。
空港近くの野田浜へ。

駐車スペースにダイビング関係の集団がいた。
講習会をやっていたのかもしれない。

砂浜に人はまばらだった。
日影がまったくなかったのでテントを張り、まずは水に浸かって適当にシュノーケリングをする。
遠浅の海岸ではなくいきなり深くなり、あとは岩場になるため、水の透明度はとても高かった。

30分ほど魚と戯れてからテントに戻り水分補給。
日差しは強かった。

ひと休みしてから再び泳ぎに行く。
人が少ないせいか魚が沢山いた。

泳いで休み、泳いで休むを3回繰り返してから、テントを撤収した。
シャワーを浴びて車に戻り、元町方面に戻る。
雑魚や紀洋丸で昼飯。

「海の宝石箱」というセットを頼んだ。

昨日の寿し光も美味かったが、コストパフォーマンスにおいてこのセットには負ける。
午前中に泳いで使ったエネルギーを一挙に回復して余りあるボリュームだった。

午後は秋の浜に移動。
崖に日影ができていたので、テントを張らずにビニールシートを敷いた。
海岸はすべて岩場だった。
滑らぬよう気をつけて水に浸かると、メジナらしき魚の群れが沖に向かって泳ぐのが見えた。
思わず奇声を上げる。

島の東側に位置する海岸なので、小さい湾内は徐々に日影になっていった。
日影になると水温がたちどころに低くなるように感じた。
例によって、水に浸かっては休み、使っては休みを繰り替えす。
ウツボのような生き物がのたくっているのを見たり、海面を泳ぐイカを真後ろから見たりした。

体力の続く範囲内で、きれいな海をたっぷり堪能した。

夕方5時にホテルに戻る。
軽くシャワーを浴びてから夕食を食べる。
椿フォンデュではなく、刺身や鍋物が並ぶ和食メニューだったので、少しほっとした。

メニューの中に明日葉そばというのがあった。
見た目がそばなのだが、そば粉は入っていないとのことだった。
食べてみるとおいしかったが、そばアレルギーゆえのプラシーボ効果か、食べ終わった後胸焼けを起こしてしまった。

7時前にロビーへ行き、夜光虫ツアーの手続きをする。
氏名とホテルの名前を紙に書き、港まで運転してくれる兄さんに渡そうとすると、
「それは船長に渡して下さい」
と言われた。

日が暮れた山道を、兄さんが運転する車で港へ向かう。
『ロッキー4』のDVDが再生されていた。
思わず見入ってしまった。

ロッキーがロシアの大地で特訓をするシーンあたりで港に到着。
船長は六尺豊かな大男といった感じの人で、三角筋の膨らみがすごかった。

救命衣をつけて船に乗る。
沖に向かってしばらくすると、船長がバケツを貸してくれた。
「くんでみて」
と船長は言う。
「くんだら、水を手でばしゃばしゃやってみて」

言われたとおりにすると、水が音を立てる度に、螢のような光がバケツの中で浮かんでは消えた。

「プランクトンだから目には見えないの。そうやっていじめると、光るんだよねー」

船長は網を貸してくれた。

「それでさ、海の中をすくってみて。落とさないでね」

網で海中をすくうと、編み目に刺激された夜光虫が光った。

見上げると空は満天の星空だった。
ホテルは山の中腹にあり、雲がかかってしまいがちだったが、海の上から見る空は澄んでいた。

同乗していた家族連れの子供が船酔いし始めたので、船長は船を港に戻した。
普段は釣り船として使っているようだった。
港に戻り、船宿で夜光虫ツアーの精算をした。
聞いていた金額より安かったのは、早めに引きあげたからだろうか。

兄ちゃんの車でホテルに戻る。
ロッキーがドラゴにいいパンチを当て始めるあたりでホテルに到着。
欲求不満が残った。

ゆっくり露天風呂につかる。
空は曇っていた。
麓から吹いてきた風が、ホテルのあたりで雲になりかけるのだろう。
月明かりのせいもあって、星はあまり見えなかった。

部屋に戻り、ビールを飲む。
胸焼けはすっかりおさまっていた。