暑くて頭が回らない

うんざりするほど暑い日が続く。

勝手なもので、涼しい日がくると夏らしくないと文句をいい、暑い日がくると暑いと文句を言っている。

夏の暑さは、あとになって振り返ると、いいものであったように思えるのだが、それと直面している7月8月は、実はそうでもない。
鬱陶しいし、だるいし、疲れる。

過去を振り返ると、すばらしき夏の記憶は、汗をかいて体が水分を求めているのに、「水分」と「自分」が菊田一夫の恋愛物語みたいにすれ違いを続け、やっとめぐり合えたジュースやビールを決して逃がさぬよう抱擁し、ぐいと飲み干す瞬間の積み重ねだったと思う。
嫌いだったトマトジュースや牛乳を飲めるようになったのは夏だった。
紅茶の炭酸飲料「ジャズイン」を美味しいと思ってぐいぐい飲んでいたのも夏だった。

コーラが好きでよく飲むのだが、これはビールの代替飲料のつもりである。
バイクに乗っていた頃、まさかビールを飲むわけにはいかないのだが、
「鼻つまんでコーラ飲めばビールみたいだよ」
と先輩に言われてそうしてみたら、本当にそんな味がした。
コーラを飲む量が増えたのはその時からだ。

逆に言えば、一年間に飲んでいるコーラは、ビールだったかもしれないのだ。
その分、アルコール依存症から遠ざかっていられているのだ。

椎名誠の本を読むとビールが好きになる。
真夏の昼から水分断ちをして、夜に冷たく冷えたビールを一気に飲み、
「ウメー!」
とうなるなんてことを、椎名さんはよくやっている。
自分も昔はよく真似た。
だが、当たり前のようだが体に悪いので、汗をたっぷりかいた後は、水をがぶがぶ飲んでから、ビールを飲むようにしている。

今日も暑い。
調べ物をしたり、資料を読んだりするだけで、肘の裏側に汗がたまる。
頭がボーっとして、作業が進まない。

レッツノートのJ10を買うことにした。
オークションも新品も値段があまり変わらなかったので、通販で今年の夏仕様のものを注文した。
これで外での台本書きや作業が楽になる。

家のデスクトップパソコンをつけると、部屋の温度が上がる。
暑い空気がPCケースの背面から、机の裏側を通り、天井に向かって上がっていく。
キッチンは冷蔵庫の排熱で常にむっとしている。
こういう熱を部屋の外に出す仕組みが作れればいいのにと思う。
だが、それは結局、ヒートアイランド現象に加担するだけかもしれない。
そういう熱を集めて、お湯を沸かしたりする技術ができれば面白いのだが。

暑くて頭が回らない。
鳥ガラスープを新しく作る。
昨日よりも煮込み時間を長くして、白濁したスープにした。
中野大勝軒のスープ割りみたいな味になった。
好きな味だ。