雨の対馬

5時起き。外がまだ暗かったので、あれっ? と思った。対馬は日本国の西方に位置するため、日の出時刻が東京よりも遅くなるのだろう。

布団をかぶらず寝ていたようで、少し寒かった。布団をかぶって寝直すと、今度は暑くて寝汗をかき、6時半に目を覚ました。

今日は9時から3時までシーカヤックのツアーに参加する予定だった。しかし、7時過ぎにカヤックのツアー会社から電話で、本日は悪天候のため中止と伝えられた。外は雨が、世界を濡らす気満々という感じで降っていた。

ショックだったが仕方ない。天気予報を見ると、午後3時までやみそうになかった。

朝飯を食べ、着替え、チェックアウトし、さてどうしたものかと考えた。

スマホキーボードのバッテリーが切れかけていたので、充電用の接続ケーブルを手に入れたかった。コンビニなら置いてあるはずだ。グーグルマップで検索すると、空港を過ぎて厳原に向かう途中にローソンがあった。

まずはそこを目指すことにした。

8時10分過ぎ頃、ローソンに着いた。駐車場には車がたくさんとまっていた。朝のその時間はかきいれ時らしかった。

ローソンで、古いUSBと新しいUSBの変換ケーブルを買った。

どこかでキーボードの充電をし、日記をアップすることで午前中の間をもたせようと思った。しかし、充電ができそうなコーヒーショップはなさそうだった。

厳原港のフェリー発着所はどうだろう? こういうところなら、どこかにコンセントはあり、ナニをナニしてアレすれば、日記を書かける分くらいの充電はできると思った。石垣島のフェリーターミナルでそうした記憶がある。

フェリー発着所に向かった。しかし、建物はわかったが、駐車場の入り口がよくわからず、港湾地区の突き当りまで行ってしまった。

フェリーがとまっていた。貨物用フェリーなのか、乗客の姿は見えなかった。切り出した木が山と積まれていた。

そこから、港の対岸に移動した。特に目的があったのではなく、なんとなくという感じだった。対岸に着いた時、さっき見ていたフェリーが港を出ていくのが見えた。

シートを倒し、どうしようかと考えた。昼寝しようか。編み作業をしようか、本を読もうか。

しばらく考え、もう一度フェリー発着所に行くことにした。雨は強く降っていたし、下手に移動して土砂災害や水害に遭ってはかなわない。そこの待合室でお昼まで過ごし、雨のブームが去るのを待とうと思った。

駐車場の入り口はわかりにくかったが、進路を逆走することになりながらも、あいているスペースになんとか車を止めることができた。ショルダーバッグに財布とスマホとキーボードと、先程買ったUSB変換コードを入れ、フェリー発着ターミナルのビルに入った。

ナニをナニしてアレしたあと、窓際の椅子に座り、日記を書いた。これでけっこう間がもった。

書き終わると12時近い時刻になっていた。ビル内の土産販売店で、昨日飲んで美味しかった焼酎『こっぽうもん』を買い、車に戻った。

昼飯を、厳原の『じょう』という食堂で食べることにした。

私道のような坂道を登った突き当りに民家があり、その半分がお店になっていた。平日だし大雨だし、お客さんなんていないだろうと思ったが、先客の父子連れがいた。

ちゃんぽんが美味しいと、Googleマップのコメントに書かれていたらので、それを頼んだ。生卵が真ん中にのったちゃんぽんで、美味しかった。さすがに長崎の『江山楼』で食べたものとは比べられないが。

食後、店の外で、裏山からの流れを見る、激流になっていた。しかし雨は降りが弱まっていた。

厳原の南、安神というところに小さい湾があった。そこへ行ってみることにした。

1時頃にその湾に着いた。何もない湾だった。

雨がやんだのを見計らい、ロッドとリールを持って浜に降りた。小石の浜で、干満によって段差が形成されていた。波打ち際に下りようとすると段差が崩れ、想像以上に歩きにくかった。

この前ハゼ釣りをした時に使った格安パックロッドに、ダイソーのシャッドテールワームをつけ、投げた。予備知識ゼロの釣りだった。

浜には、海に向かって左側に小さい川の河口と防波堤があり、右側に山を背景にした磯があった。

投げては磯に向かう感じでランガンした。磯に近くなってきたところでリトリーブスピードを遅めにした。すると派手に根がかりしてしまい、竿をしゃくるとリーダーとの結節部分でラインが切れてしまった。

リーダーを結び直し、今度は防波堤方面に向かってランガンした。

河口から結構強い勢いで水が流れていた。その流れの境目にルアーを投げるようにしていると、何かが食ってきた。合わせて引くと竿はしなったが、それほど大きくない魚だとわかった。

釣り上げると、15センチくらいの小さいクエがかかっていた。小さいが、とにかくルアーを投げて釣れたことが嬉しかった。

しばらく同じポイントでルアーを投げてから、今度は先ほど根がかりした磯に向かってランガンした。磯の沖にヨレのようなものがあり、そこを目指して投げた。

ヨレに投げ、ルアーが着底するのを待ち、引こうとした時、根がかりをしている感触が手に伝わってきた。しばらくそっとしておいて、流れでフックが外れるのを期待してから、軽くシャクってみると、ルアーは動いた。外れた、と思った。

しかし、竿先に重みがあった。何かがかかっていた。さっきより重かった。しかしドラグは出ていかなかったので、さほど大きくはないと思った。

淡々とリールを巻き、ごぼう抜きで引き上げる。かかっていたのはカサゴだった。サイズは20センチほどだった。

カサゴをリリースしてから、同じポイントに何度か投げ入れた。ルアーが着底するのを待つ間に食いつかれている感触が伝わってくることがあったが、ものにすることはできなかった。

いつの間にか3時を過ぎていた。車を返却する時間を考え、レンタカー屋に向かいながら別の浜へポイント移動することにした。

いったん山の上に上り、霧の中を走って隣の入江に移動した。そこは尾浦海水浴場のある入江だった。大雨の日なので、人っ子一人いない、かと思ったが、車が二台だけ止まっていて、持ち主が海の家の中でお茶をしている気配があった。

海水浴場の隣の防波堤でルアーを投げた。根掛かりすることはなかったが、アタリもまったくなかった。結局ここでは何も釣れなかった。

4時40分を過ぎたところで納竿した。雨はあがっており、雲がやや薄くなったためか、少し明るくなっていた。

5時少し前にクルマを返却した。レンタカー屋に隣接したガソリンスタンドの店員に、釣ったカサゴの写真を見せた。「アラカブですね。味噌汁にするとうまいです」と彼は言った。

ファミリーマートで、ビール、明日の朝のパン、その場で飲むコーヒーを買い、イートインでコーヒーを飲んだ。

そこから歩いてすぐのところにあるゲストハウスにチェックインし、すぐにシャワーを浴びた。

6時過ぎ、『お多幸』というとんかつ屋へ夕飯を食べに行った。ロースカツと生ビールを頼み、女将の話を聞きながらビールを飲んだ。

対馬は椎茸が美味しいらしい。過ごしやすい気候で、地震もないという。

女将さんの母親は昨年お亡くなりになったが、生前は対馬方言を使った子供向けの詩を書いており、本も出したそうだ。『こうこいも』という本が店においてあったので少し見せてもらったが、素朴で滋味深い、生活感のある生きた言葉がちりばめられており、かなりぐっときた。

店を出て宿に戻り、『こうこいも』を検索してみたが、現在は販売されていないらしかった。Amazonで古本が売られていたが、プレミアがついて1万円以上の値段がついていた。図書館においてないかと思い検索してみたが、杉並と中野の図書館にはおいていなかった。

ビールを飲み、ラジコで巨人中日戦を聞く。今日はドラゴンズが1対4で逃げ切った。

9時過ぎ、ミネラルウォーターと、ボクサーブリーフを買いに、ファミリーへ行った。暗くなった街を歩くと、不思議と気分が落ち着いた。涼しかった。

部屋に戻り、11時までウイスキーをちびちび飲み、就寝。